2010年03月19日
労働者派遣法改正案が閣議決定されました
主な改正内容は以下の通りです。
(1)法律の題名が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正
(2)登録型派遣の原則禁止(専門26業務等は例外)
(3)製造業務派遣の原則禁止(常時雇用(1年を超える雇用)の労働者派遣は例外)
(4)日雇派遣(日々又は2か月以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止
(5)グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止
(6)違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす(直接雇用見なし制度の導入)
施行期日は、公布の日から6か月以内の政令で定める日となります。
登録型派遣の原則禁止及び製造業務派遣の原則禁止については、改正法の公布の日から3年以内の政令で定める日。
政令で定める業務については、施行からさらに2年以内の政令で定める日まで猶予期間が設けられます。
なお、政労使の代表(労働政策審議会)が議論を尽くして合意、厚生労働省案に盛り込まれた事前面接(期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為)の解禁は社民・国民新党の削除となりました
審議会の合意を無視して、少数与党が強引に法律案をねじ曲げることがあってもいいものか、とても疑問に思います。
詳細は以下をご参照ください。
厚生労働省:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」について「労働時間等見直しガイドライン」が改正されました
3月19日公示、原則として4月1日から適用されますが、「子の養育又は家族の介護を行う労働者」に関する規定は6月30日から適用されます。
本ガイドラインは、事業主などが、労働時間等の設定の改善について適切に対処するために必要な事項について定めるものです。
「労働時間等の設定」とは、「労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項を定めること」をいうものとされています。
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善(労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへ改善すること)を図るため、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。
厚生労働省は、あらゆる機会を通じて改めてガイドラインの周知啓発を行い、仕事と生活の調和の実現を目指して労働時間等の見直しを推進していく考えです。
詳細は以下をご参照ください。
厚生労働省:年次有給休暇を取得しやすい環境の整備に向け、関係者の取組の促進を!(〜「労働時間等見直しガイドライン」の改正〜)
厚生労働省:労働時間等の設定の改善2010年03月18日
年金事務所がサービスコンテスト実施
本日付の日経新聞の記事によると、長妻厚生労働相は、全国312カ所の年金事務所で「年金サービスコンテスト」なるものを実施する方針を固めた模様です。
日本年金機構に所属する全国312カ所の年金事務所で、サービス向上策や業務改善提案を競争、優れたアイデアは発案した年金事務所以外でも採用して、年金業務サービス全般の向上を目指します。
コンビニやFCで導入されている民間の手法を取り入れ、サービス向上に努めるということですが、それならば年金事務所だけでなく、地方自治体や協会けんぽにも取り入れともらいたいと思います。
平成22年度の国民年金保険料額等のお知らせ
上記は、法律の規定に従い、物価変動率等に応じて、年度毎に政令で定めることとしていますが、平成22年度の内容について、以下のようになる見通しです。
○ 平成22年度の年金額は据え置き。
※1月29日付報道発表資料にて公表済み(老齢基礎年金1人分:月66,008円)
○ 平成22年度の国民年金保険料額は、月15,100円。
○ 平成22年度の国民年金保険料の追納加算率は1.4%。
○ 平成22年度の在職老齢年金の支給停止基準額を「48万円」から「47万円」に改定。
詳細は以下をご参照ください。
厚生労働省:平成22年度の年金額、国民年金保険料、在職老齢年金の支給停止基準額等について在職老齢年金に関するリーフレットは以下から
在職老齢年金制度の概要について(PDF:151KB)2010年03月17日
改正労働基準法と就業規則・時間外労働、その4「中小企業の猶予措置」
第4回目は「中小企業の猶予措置」です。
長時間外労働を抑制することを目的として、労働基準法第37条第1項ただし書において、1か月について60時間を超える時間外労働について、法定割増賃金率を5割以上の率に引き上げることとされています。
しかしながら、経営体力が必ずしも強くない中小企業においては、時間外労働抑制のための業務処理体制の見直し、新規雇入れ、省力化投資等の速やかな対応が困難であり、やむを得ず時間外労働を行わせた場合の経済的負担も大きいものです。
このため、労働基準法第138条において、同条に規定する中小事業主の事業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げの適用を猶予することとされています。これに伴い、労働基準法第37条第3項の規定による代替休暇も適用されないこととなります。
中小企業に該当する場合は、あわてて、就業規則に60時間超の割増賃金を5割以上に定めたり、代替休暇を定めない方がいいでしょう。
なお、改正法附則第3条第1項において、政府は、改正法の施行後3年を経過した場合において、中小事業主に対する猶予措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。
○ 中小企業の範囲
・中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。
・事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。
1)猶予される中小企業
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | または | 常時使用する労働者数 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | または | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | または | 100人以下 |
| その他 | 3億円以下 | または | 300人以下 |
※業種分類は日本標準産業分類(第12回改定)に従っています。日本標準産業分類の詳しい中身については、以下をご参照下さい。
http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/19-3.htm
個人事業主や医療法人など資本金や出資金の概念がない場合は、労働者数のみで判断することとなります。
例えば、医療法人は日本標準産業分類によるとサービス業に分類されるため、常時使用する労働者数が101人以上であれば、中小企業の猶予措置が適用されず、時間外労働が1か月60時間を超えれば、5割以上の割増賃金を支払うか、代替休暇を与えなければなりません。
また、グループ企業の場合はグループ単位ではなく、法人単位で判断しますので注意が必要です。
したがって、101人以上規模の医療法人等は、法定時間外労働60時間超で5割以上の割増賃金率等を就業規則に規定しなければなりません。
参考条文
労働基準法の一部を改正する法律(平成二十年法律第八十九号)
第三十七条第二項の次に次の一項を加える。
使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
第百三十八条
中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については一億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については百人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、第三十七条第一項ただし書の規定は、適用しない。
改正労働基準法条文に関しては、以下をご参照ください。
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)
概要(PDF:55KB)
条文(PDF:80KB)
新旧対照表(PDF:130KB)
今回は、以下のパンフレットを参考にしました。
改正労働基準法のあらまし
改正労働基準法全般に関しては、以下をご参照ください。
厚生労働省:労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)
2010年03月16日
改正労働基準法と就業規則・時間外労働、その3「代替休暇」
長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和を図ることを目的とする「労働基準法の一部を改正する法律」(平成20年法律第89号)が、平成20年12月12日に公布され、平成22年4月1日から施行されます。
第3回目は「代替休暇」です。
改正労働基準法では、労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとなりました。
なお、労働基準法第138条に規定する中小事業主の事業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは適用しないこととされていることに伴い、労働基準法第37条第3項の規定による代替休暇も適用されません。
ただし、1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を50%以上に引き上げた場合は、大企業と同様の代替休暇に相当する制度の導入が可能です。
1)総論
1か月60時間を超える時間外労働について、割増賃金の支払に代えて代替休暇を付与することとするには、まず労使協定を結ぶ必要があります。
○ 労使協定で定めるべき事項は、
(1)代替休暇の時間数の具体的な算定方法
(2)代替休暇の単位(1日、半日、1日または半日のいずれか)
(3)代替休暇を与えることができる期間(時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月間以内の期間)
(4)代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
の4つがあります。
○ また、代替休暇の制度を設ける場合には、労働基準法第89条第1項第1号に定める「休暇」に関するものなので、就業規則にもその内容を規定する必要があります。
2)割増賃金の支払が不要となる時間
代替休暇を取得した場合、その取得した代替休暇に対して支払われた賃金額に対応した時間外労働時間数に係る引上げ分の割増賃金の支払が不要となります。
具体的には、取得した休暇の時間数を、換算率で除して得た時間について、引上げ分の割増賃金の支払が不要となります。
換算率=「代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率」−「代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率」とされていますので、
例えば、改正労働基準法が定める最低基準である法定時間外労働60時間超の割増賃金率を50%、60時間未満の割増賃金率を25%とすると、
換算率=50%−25%=25%となります。
代替休暇の時間数=[1か月の時間外労働時間数−60]×換算率で計算されますので、
1か月の法定時間外労働が80時間だとすると、
代替休暇の時間数=[80−60]×0.25=5時間となります。
3)年次有給休暇との関係
○ 代替休暇は、年次有給休暇とは異なります。
○ 労働者が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、正当な手続により労働者が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定基礎となる全労働日に含みません。
○ 半日の代替休暇を取得した場合については、年次有給休暇の8割出勤の算定の際の取扱いは、以下の通りです。
(1)残りの半日は出勤した場合・・・その日は出勤したこととなります。
(2)残りの半日は年次有給休暇を取得した場合・・・その日は出勤したものとみなします。
(3)残りの半日は欠勤した場合・・・その日は欠勤したこととなります。
○ 代替休暇の労使協定例
(対象者及び期間)
第1条 代替休暇は、賃金計算期間の初日を起算日とする1か月において、60時間を超える時間外労働を行った者のうち半日以上の代替休暇を取得することが可能な者(以下「代替休暇取得可能労働者」という。)に対して、当該代替休暇取得可能労働者が取得の意向を示した場合に、当該月の末日の翌日から2か月以内に与えられる。
(付与単位)
第2条 代替休暇は、半日又は1日単位で与えられる。この場合の半日とは、午前(8:00〜12:00)又は午後(13:00〜17:00)の4時間のことをいう。
(代替休暇の計算方法)
第3条代替休暇の時間数は、1か月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率30%を差し引いた20%とする。また、会社は、労働者が代替休暇を取得した場合、取得した時間数を換算率(20%)で除した時間数については、20%の割増賃金の支払を要しない。
(代替休暇の意向確認)
第4条 会社は、1か月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、当該月の末日の翌日から5日以内に代替休暇取得の意向を確認するものとする。この場合において、5日以内に意向の有無が不明なときは、意向がなかったものとみなす。
(賃金の支払日)
第5条 会社は、前条の意向確認の結果、代替休暇取得の意向があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される賃金額を除いた部分を当該時間外労働を行った月に係る賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2か月以内に代替休暇が取得されなかった場合には、残りの割増賃金は代替休暇が取得されないことが確定した月に係る割増賃金支払日に支払うこととする。
第6条 会社は、第4条の意向確認の結果、取得の意向がなかった場合には、当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、取得の意向がなかった労働者から当該月の末日の翌日から2か月以内に改めて取得の意向が表明された場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分の賃金を精算するものとする。
○ 就業規則規定例
(代替休暇)
第○○条 1か月(賃金計算期間)の時間外労働が60時間を超えた従業員に対して、労使協定に基づき、次により代替休暇を与えるものとする。
(1) 代替休暇を取得できる期間は、直前の賃金締切日の翌日から起算して翌々月の賃金締切日までの2か月とする。
(2) 代替休暇は、半日又は1日で与える。この場合の半日とは、午前(8:00〜12:00)又は午後(13:00〜17:00)のことをいう。
(3) 代替休暇の時間数は、1か月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率30%を差し引いた20%とする。また、従業員が代替休暇を取得した場合は、取得した時間数を換算率(20%)で除した時間数については、20%の割増賃金の支払を要しないこととする。
(4) 代替休暇の時間数が半日又は1日に満たない端数がある場合には、その満たない部分についても有給の休暇とし、半日又は1日の休暇として与えることができる。ただし、前項の割増賃金の支払を要しないこととなる時間の計算においては、代替休暇の時間数を上回って休暇とした部分は算定せず、代替休暇の時間数のみで計算することとする。
(5) 代替休暇を取得しようとする者は、1か月に60時間を超える時間外労働を行った月の賃金締切日の翌日から5日以内に、会社に申し出ることとする。代替休暇取得日は、従業員の意向を踏まえ決定することとする。
(6) 会社は、前項の申出があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される賃金額を除いた部分を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2か月以内に取得がなされなかった場合には、取得がなされないことが確定した月に係る割増賃金支払日に残りの25%の割増賃金を支払うこととする。
(7) 会社は、申出がなかった場合は、当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、取得の意向がなかった第1項の期間中に従業員から改めて取得の申出があった場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分の賃金を精算するものとする。
参考条文
労働基準法の一部を改正する法律(平成二十年法律第八十九号)
第三十七条第二項の次に次の一項を加える。
使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
第百三十八条
中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については一億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については百人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、第三十七条第一項ただし書の規定は、適用しない。
改正労働基準法条文に関しては、以下をご参照ください。
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)
概要(PDF:55KB)
条文(PDF:80KB)
新旧対照表(PDF:130KB)
今回は、以下のパンフレットを参考にしました。
改正労働基準法のあらまし
改正労働基準法全般に関しては、以下をご参照ください。
厚生労働省:労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)
2010年03月15日
改正労働基準法と就業規則・時間外労働、その2「法定割増賃金率の引上げ」
長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和を図ることを目的とする「労働基準法の一部を改正する法律」(平成20年法律第89号)が、平成20年12月12日に公布され、平成22年4月1日から施行されます。
第2回目は「月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引上げ」です。
現行制度においては、時間外労働に対して、使用者は25%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。深夜(22:00〜5:00)の時間帯に時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率25%=50%となります。
改正労働基準法では、特に長い時間外労働を強力に抑制することを目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働について、法定割増賃金率を現行の2割5分以上の率から5割以上の率に引き上げることとされました。
なお、労働基準法第138条に規定する中小事業主の事業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは適用しないこととされていますので、時間外労働60時間超の割増賃金を50%以上に引き上げる必要はありません。
改正のポイントは以下の通りとなります。
1)総論
1か月60時間を超える時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならなくなります。
1か月の起算日は、賃金計算期間の初日、毎月1日、36協定の期間の初日などにすることが考えられますが、通常は賃計算期間の初日となります。
○ 1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率及び1か月の起算日については、労働基準法第89条第1項第2号に定める「賃金の決定、計算及び支払の方法」に関するものなので、就業規則に規定する必要があります。
○ 1か月の起算日からの時間外労働時間数を累計していって60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
2)深夜割増賃金との関係
深夜(22:00〜5:00)の時間帯に月60時間を超える時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。
3)法定休日との関係
1か月60時間の時間外労働の算定には、法定休日(※)(例えば日曜日)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(上記の例では土曜日)に行った時間外労働は含まれます。
なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいとされています。
※ 法定休日
使用者は1週間に1日または4週間に4回の休日を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。法定休日に労働させた場合は35%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
就業規則(賃金規程)規定例
限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を25%、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を50%とする場合
(時間外労働の割増賃金)
第○○条 時間外労働の割増賃金は、次の算式により計算して支給する。なお、この場合の1か月は毎月1日を起算日とする(賃金計算期間と同じとする)。
(1)1か月60時間以下の時間外労働
{(基本給+○○手当+△△手当)÷1か月平均所定労働時間数}×1.25×時間外労働時間数
(2)1か月60時間を超える時間外労働
{(基本給+○○手当+△△手当)÷1か月平均所定労働時間数}×1.50×時間外労働時間数
参考条文
労働基準法の一部を改正する法律(平成二十年法律第八十九号)
第三十七条第一項に次のただし書を加える。
ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
第百三十八条
中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については一億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については百人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、第三十七条第一項ただし書の規定は、適用しない。
改正労働基準法条文に関しては、以下をご参照ください。
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)
概要(PDF:55KB)
条文(PDF:80KB)
新旧対照表(PDF:130KB)
今回は、以下のパンフレットを参考にしました。
改正労働基準法のあらまし
改正労働基準法全般に関しては、以下をご参照ください。
厚生労働省:労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)
2010年03月14日
改正労働基準法と就業規則・時間外労働、その1「限度基準の見直し」
長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和を図ることを目的とする「労働基準法の一部を改正する法律」(平成20年法律第89号)が、平成20年12月12日に公布され、平成22年4月1日から施行されます。
これから数回にわたって、改正労働基準法のポイントと就業規則の改定例をご紹介していきたいと思います。
第1回目は『「時間外労働の限度に関する基準」の見直し』です。
労働基準法で労働時間は1週40時間、1日8時間までと定められています。これを超えて法定時間外労働(以下「時間外労働」と言います。)を行わせるためには、労使協定『時間外労働協定(「36協定」)』を締結し、これを労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定では、(1)1日、(2)1日を超え3か月以内の期間、(3)1年間のそれぞれについて、延長することができる時間を労使で協定しなければなりません。このうち(2)、(3)の延長時間については「時間外労働の限度に関する基準」において、一定の限度時間が定められています(一部、適用除外あり) 。
| 期間 | 限度時間 | 限度時間(※) |
| 1週間 | 15時間 | 14時間 |
| 2週間 | 27時間 | 25時間 |
| 4週間 | 43時間 | 40時間 |
| 1ヵ月 | 45時間 | 42時間 |
| 2ヵ月 | 81時間 | 75時間 |
| 3ヵ月 | 120時間 | 110時間 |
| 1年間 | 360時間 | 320時間 |
※1年単位の変形労働時間制をとっている場合
臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。
特別条項付き36協定では、
◇原則としての延長時間(限度時間以内の時間)
◇限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情
◇一定期間途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続
◇限度時間を超える一定の時間
◇限度時間を超えることができる回数
を定める必要があります。
今回、「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使で特別条項付き36協定を結ぶ際には、新たに、
1.限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金率を定めること
2.1の率を法定割増賃金率(2割5分以上)を超える率とするよう努めること
3.そもそも延長することができる時間数を短くするよう努めること
が必要になります。
○ 特別条項付き36協定
例1
一定期間における延長時間は、1か月45時間、1年360時間とする。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6回を限度として1か月60時間まで延長することができ、1年420時間まで延長することができる。
この場合の割増賃金率は、1か月45時間を超えた場合は30%、1年360時間を超えた場合は35%とする。
例2
一定期間における延長時間は、3か月120時間、1年360時間とする。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、2回を限度として3か月150時間まで延長することができ、1年400時間まで延長することができる。
この場合の割増賃金率は、3か月120時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合は40%とする。
注意!
上記特別条項付き36協定例は、いずれも、限度時間を超えた場合の割増賃金率を2割5分を超える定めをしていますが、これはあくまでも努力義務ですので、無理をして引き上げる必要はありません。
○ 就業規則(賃金規程)
特別条項付き36協定で割増賃金率を定めた場合には、労働基準法第89条第2号に定める「賃金の決定、計算及び支払の方法」に関するものなので、就業規則(賃金規程)にも新しい割増賃金率を規定する必要があります。
就業規則(賃金規程)規定例
例1
割増賃金率を、1か月45時間を超える時間外労働について35%、1年360時間を超える時間外労働について40%に設定している場合
(割増賃金)
第○○条 時間外労働に対する割増賃金は次の割増賃金率に基づき、次条の計算方法により支給する。
(1) 1か月の時間外労働時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。なお、この場合の1か月は毎月1日を起算日とする。
一 時間外労働45時間以下25%
二 時間外労働45時間超〜60時間以下35%
三 時間外労働60時間超50%
四 三の時間外労働のうち代替休暇を取得した時間35%(残り15%の割増賃金分は代替休暇に充当)
(2) 1年間の時間外労働時間数が360時間を超えた部分については、40%とする。なお、この場合の1年は毎年4月1日を起算日とする。
例2
割増賃金率を、3か月120時間を超える時間外労働について30%、1年360時間を超える時間外労働について35%に設定している場合
(時間外労働に対する割増賃金率)
第○○条
(1) 時間外労働に対する割増賃金率は、次項の場合を除き、時間外労働時間数が1か月60時間以下の場合には25%とし、第○条に定める計算方法により割増賃金を支給することとする。
この場合、1か月の起算日は毎月1日とする。第3項において同じ。
(2) 限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、次のとおりとする。この場合、3か月の起算日は1・4・7・10月の1日とし、1年の起算日は毎年4月1日とする。
・3か月120時間を超える時間外労働に適用される割増賃金率30%
・1年360時間を超える時間外労働に適用される割増賃金率35%
(3) 前項の規定にかかわらず、時間外労働が1か月60時間を超える場合には割増賃金率を50%とする。(※)
※ 1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率は、限度時間を超える時間外労働の割増賃金率の定めにかかわらず50%以上とする必要があります。このことについても、就業規則に定めておく必要があります(中小企業は適用が猶予されます)。
限度基準の改正に関しては、以下をご参照ください。
労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する件
(※限度基準告示の一部改正)(平成21年厚生労働省告示第316号)
条文(PDF:46KB)
新旧対照表(PDF:60KB)
今回は、以下のパンフレットを参考にしました。
改正労働基準法のあらまし
改正労働基準法全般に関しては、以下をご参照ください。
厚生労働省:労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)
2010年03月12日
中小企業雇用安定化奨励金の支給額引上げへ
この奨励金は、中小企業事業主が、契約社員やパートタイマーなどの期間を定めて雇用している従業員を、新たに正社員として転換する制度を就業規則などに定めて、実際に正社員に転換させた場合に支給されるものです。
新たに正社員への転換制度を導入し、かつ、この制度を利用して、直接雇用する有期契約労働者を1 人以上通常の労働者として転換させた場合一事業主について現行は35 万円から40万円に引き上げます。
転換制度を導入した日から3 年以内に、直接雇用する有期契約労働者を3 人以上通常の労働者として転換させた場合対象労働者1 人について現行10 万円から20万円に引き上げます(10 人を限度)。
出産育児一時金の医療機関への直接支払制度、猶予延長へ
この制度は、医療機関からの申請から支払までに一定の期間(1〜2ヵ月程度)を要することから、当面の準備が整わないなど、どうしても対応が困難な医療機関については、今年度に限り、例外的に、その適用を猶予するとともに、医療機関の資金繰りの問題に対応するため、昨年10月8日には、福祉医療機構における低利融資について、金利の引き下げや、無担保融資上限額の引き上げなど、更なる条件緩和を行ったところです。
しかし、本年2月に、厚生労働省において、直接支払制度への対応が困難と考えられる医療機関に対して行った調査によれば、現在、部分的な実施か、全面的に実施を見合わせている医療機関の約7割が資金繰りの問題を理由としており、また、4月以降については、約5割強が部分的な実施であれば対応可能、約4割弱が全面的に対応困難であるといったことが明らかとなりました。
制度の全面的な実施により、分娩の取扱いが困難となる医療機関が出てくると、かえって妊婦迷惑をかけることとなるため、本年4月以降については、
(1) 妊婦の経済的負担への配慮のための措置※を講じながら、出産育児一時金の引上げ等に係る暫定措置期間である平成23年3月末まで、実施猶予を延長
※1 個別に直接支払制度に対応する。(医療機関の判断により、妊婦が出産育児一時金を受け取るまで支払いを待つことでも可)
※2 保険者による出産費用の貸付や、都道府県社会福祉協議会による生活福祉貸付を受けられるよう、制度の説明や申請の支援等の便宜を図る。
○ 直接支払制度に対応していない旨の院内掲示と、制度に対応していない旨を説明し、妊婦の合意を得ることについては、これまでと同様。
(2) 支払の早期化や、低利融資のさらなる条件緩和など、医療機関の資金繰りへの支援を実施する
(3) 出産育児一時金制度について議論する場を設け、直接支払制度の現状・課題や、平成23年度以降の制度の在り方について検討する
となりました。
以下、ご参照ください。
厚生労働省:出産育児一時金の医療機関への直接支払制度に係る4月以降の対応について


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